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訳:「描き始めるときキャンバスの上にはなんのルールもない。私は背景の色を塗る事から始め、シナリオをイメージしながら自分の気持ちをそこに塗り込め、重ねて行きます。
それは本能的な作業であり、入念な準備や計算はキャンバスの上になんの結果も産みません。欲求をぶつけてそれを解き放つ、その過程を説明するのは正直難しいのですがこれが私のやり方です。
キャンバスはいつも私の前に立ちはだかり、私は自分を解き放つ。解き放して、だけど次第にその結果にがっかりする。本当に時間のかかる作業です。なぜなら簡単な方法などないのですから。それはまるで私とキャンバスの駆け引きのようです。重要な事は、解決策や終わりを探さない事。
描くということ、それは私にとっては孤独を打ち破る作業です。キャンバスとは最終的に本当の私が顔を出すことを許し、私が何者であるかを理解させてくれる濾し布(フィルター)なのです。」
【アーティスト経歴】
1971年フランス生まれのコキアンはジャン=ミシェル・バスキアなどに代表されるバッドペインティング(新表現主義)の継承者と言うに相応しいアーティストである。
彼は幼少期の2年間をミャンマー、4年間モロッコで過ごした後、家族とフランスに戻りパリ近郊に定住した。パリの路上でのグラフィティやタギング時代を経て1995年彼はニューヨークへ渡り、そこで自分のスタイルを見出す。
それは風変わりで突飛、それでいて人の心をかき乱す、まるでアールブリュット(アウトサイダーアート)のようなものだった。その後、社会の様々な不正に疑問を投げかけるスローガンを備えた彼のカラフルなグラフィティは 批評家達によって注目を集めてきた。彼の挑発的な画風にメディアも注目し、彼の姿も度々露出するようになった。
現在フランスではコキアンの都市表現主義はよく知られ、また、国際的なアートコレクションでも見ることができる。